『アンパンマンのマーチ』コード進行解説!簡単演奏の極意と深い響きの特集記事をお届けします。最新トレンドが詰まっています。

『アンパンマンのマーチ』(作詞:やなせたかし / 作曲:三木たかし)の原曲キーはB♭(変ロ長調)です。金管楽器の華やかなファンファーレに適したキーであり、マーチ(行進曲)としての快活さを引き立てています。しかし、弦楽器や鍵盤楽器の入門者にとって、フラットが2つつくB♭はバレーコードや黒鍵の多用を強いられるハードルの高い調性といえます。

楽曲の全体像を把握するために、代表的なコード進行の流れを音楽理論の観点から分解してみましょう。多くの人が耳馴染みのある「サビ始まり」の構成は、聴き手の心を一瞬で掴む工夫に満ちています。

サビの冒頭(「そうだ 恐れないで みんなのために」)は、トニック(主音)からドミナント、サブドミナントへと淀みなく展開する王道のポップス進行をベースにしています。ここで注目すべきは、明るい行進曲でありながら、随所に短調(マイナーコード)が効果的に配置されている点です。

Aメロ(「なんのために 生まれて なにをして 生きるのか」)に入ると、メロディとコードは一転して内省的な翳り(かげり)を帯びます。メジャーコードの快活さから、VI minor(Gm)やII minor(Cm)といったマイナーコードへ着地することで、やなせたかし氏の問いかける重厚な人生観が、聴き手の胸に深く突き刺さる構造になっているのです。