かつては多くのファンが命日などに墓所を訪れる光景が一般的でしたが、近年亡くなった大物俳優やミュージシャン、お笑い芸人などの墓所は「非公開」とされるケースが主流となっています。これには現代特有の切実な理由が存在します。
最大の要因は、SNSの普及によるプライバシー侵害と近隣トラブルです。一部の心無いファンが墓石の写真を撮影して位置情報付きでネット上に投稿したり、大挙して押し寄せることで、隣接する一般家庭の墓参りを妨げたりする事態が多発しました。また、墓前に供えられた生花やお酒、タバコなどが長期間放置されてカラスや野生動物に荒らされ、霊園の美観や衛生環境を損なうケースも後を絶ちません。
こうしたトラブルから静かな祈りの場を守るため、遺族や所属事務所が「墓所は非公開とし、花や供物の送付も辞退する」と公式に発表する事例が定着しました。さらに、少子高齢化に伴う「墓じまい(改葬)」の急増や、特定の墓石を持たない樹木葬、海洋散骨、自宅での手元供養といった多様な供養スタイルの広がりも、著名人の墓所が一般に明かされない背景となっています。