アンガーマネジメントを取り入れた結果、かえって人間関係が悪化したりストレスが増大したりする失敗例には、典型的なパターンがあります。その最たるものが「怒りの抑圧(感情のフタ)」です。
怒りは人間にとって自然な防衛感情であり、危険や不当な扱いを知らせるアラームです。それを「怒ってはいけない」「感情的になるのは未熟だ」と無理に押さえつけると、未消化のストレスが蓄積し、些細なきっかけで激しい爆発を引き起こします。周囲からは「急にキレる予測不能な人」と見なされ、逆効果を生んでしまいます。
また、アンガーマネジメント研修が無駄と批判される背景には、組織側の運用の形骸化があります。管理職やメンバーにテクニックだけを教え、職場にはびこる不合理な労働環境や心理的安全性の低さを放置すれば、現場の不満は募る一方です。「怒りを個人の我慢で解決させようとする道具」として悪用される現場では、研修そのものが形骸化してしまいます。