発言の直後から、マスメディア報道の過熱ぶりは臨界点に達した。会見全体を通じて福田氏が訴えた統治の難しさや政治的混迷の構図は切り捨てられ、わずか数秒の音声と映像だけがワイドショーで朝から晩までループ再生された。
これは日本の政治ジャーナリズムが抱える病理を浮き彫りにした瞬間でもあった。政策の是非や辞任に伴う統治の空白といった本質的議論は後回しにされ、「逆ギレした首相」というわかりやすいストーリーばかりが消費された。政治家の発言をエンターテインメントとして切り取り、劇場型の対立構造へと仕立て上げるメディアの手法は、この時期を境に一層先鋭化していくことになる。