中堂系という人物を語る上で避けて通れないのが、日彰医大時代に起きた恋人・糀谷夕希子(こうじや ゆきこ)の殺害事件です。絵本作家を目指していた夕希子は、ある日何者かによって絞殺され、ゴミ捨て場に遺棄されるという凄惨な最期を遂げました。当時、当番医として法医学教室に運ばれてきた遺体と対面した中堂は、それが変わり果てた最愛のパートナーであると知りながら、自らの手でメスを握り解剖を行いました。
しかし、証拠不十分な状況と中堂の異常な精神状態が重なり、警察からは「証拠隠滅のための解剖ではないか」と殺人容疑をかけられ逮捕・勾留される事態に陥ります。最終的に嫌疑不十分で釈放されたものの、大学を追われた中堂の心には深い傷が刻まれました。解剖時に夕希子の口腔内に残されていた謎の圧痕「赤い金魚」——これこそが、連続殺人犯の手口であることを確信した中堂は、以後8年間にわたり私費を投じて葬儀屋・木林南雲(竜星涼)を抱き込み、全国の変死体から同一の痕跡を探し続けることになります。
中堂が所属する不自然死究明研究所(UDIラボ)の「中堂班」は、臨床検査技師や記録員が激しい言葉遣いに耐えかねて次々と辞職するブラック職場として描かれますが、その苛立ちの根底には「1日でも早く犯人を見つけ出し、自らの手で葬り去る」という、復讐に憑りつかれた男の焦燥が渦巻いていたのです。