近年のハリウッド映画を振り返っても、『ダークナイト ライジング』が放つ異様なまでの重厚さは際立っている。アメコミ原作のスーパーヒーロー映画というジャンルに収まりきらない、冷徹なクライム・アクションとしての骨格を備えているからだ。
ゴッサムを占拠するベインの暴力と、秩序が崩壊した都市の絶望。その中でセリーナ・カイルが見せる行動原理は、常に「持たざる者のサバイバル」に基づいている。彼女のキャラクター造形があったからこそ、富裕層と貧困層の断絶という現代社会にも通じるダークなテーマが、より一層の説得力を持ってスクリーンに刻み込まれた。