視点を世界に向けると、ヒップに対する価値観の変遷はさらにダイナミックだ。2010年代以降、キム・カーダシアンをはじめとするセレブリティの影響により、極端に強調された豊かなヒップラインはグローバルな美のアイコンへと押し上げられた。
この美意識の潮流は日本の美容・ヘルスケア産業にも波及し、YouTube上にはヒップアップを目的としたエクササイズ動画や、骨盤矯正を謳うコンテンツが無数に投稿されている。かつては前近代的な「多産・安産」の記号として押し付けられていたお尻のボリュームが、現代では自己表現やフィットネスの成果としての「造形美」へと意味を変容させた。文化的な美のトレンドと生物学的な機能美が混同されやすい土壌が、ここにある。