若き日の安倍寛信が選んだ道は、家業のような政治家への出馬ではなく、自らの手で事業を動かす商社マンとしての過酷な現場だった。成蹊大学で培った柔軟な知性と人間関係の構築力は、彼がビジネス社会へ踏み出す強い支えとなった。卒業後に入社した三菱商事株式会社において、彼は世界規模で展開されるダイナミックな物流と取引の最前線に身を置くこととなる。
特に彼が長いキャリアの中で力を注いだのが、生活防衛や産業基盤の根幹を支える総合商社・パッケージング業界であった。単なるモノの流通にとどまらず、環境配慮や包装資材の技術革新が急速に進むなか、時代の先を見据えた構造改革を精力的に推進。派手な政界のスポットライトとは対極にある、地道かつ冷徹な経済ロジックの現場で、彼は着実に信頼を積み重ねていった。