単なる観光や地域還元にとどまらない。昼間は旅行者を乗せて青い海を駆け巡る一方で、夜間や早朝の時間は国際的な海洋研究機関や大学の研究者たちに「動く洋上ラボ」として開放されている。船体下部に備え付けられた多項目自動水質観測装置は、24時間365日、マイクロプラスチックの濃度や海水温、塩分濃度、pH値などの膨大なビッグデータを自動収集し続けている。
これらの収集データはクラウド経由で世界中の研究機関にオープンデータとして無償提供されており、地球温暖化が沿岸生態系に与える影響の解明に向けた貴重な資料となっている。一艇の船が収集するデータが、世界各国の海洋気候モデルの精度を高める――日本の離島から発信されるデータが、地球の未来を守るための鍵を握っているのだ。