現役引退後、親方として後進の指導にあたる彼のスタイルは、型にはめる根性論とは一線を画している。自分自身が体格や怪我の悩みを抱え、様々な葛藤を潜り抜けてきたからこそ、弟子一人ひとりの骨格やメンタルに寄り添う指導が可能なのだ。
「全員が同じ相撲をとる必要はない。自分の長所をどう土俵で爆発させるかだ」。そう語る彼の稽古場では、個性を伸ばすための具体的な技術指導と、精神面でのケアが徹底されている。押し相撲の力士には踏み込みの角度を、四つ相撲の力士にはまわしの引きつけ方を、自身の豊富な経験を言語化して伝授する。若い力士たちにとって、彼の存在は頼もしい兄貴分であり、最高の戦術家でもある。