「なぜ上場しないのか?」——株式市場関係者から幾度となく投げかけられてきたこの問いに対し、同社の答えは一貫してブレない。株主の顔色を窺い、短期的な四半期決算の数字作りに追われることを何よりも嫌うからだ。
株式を公開すれば、確かに莫大な資金を株式市場から直接調達できる。しかしその代償として、株主総会での同意調達や社外取締役への説明など、意思決定の手続きが著しく煩雑化する。アイリスオーヤマは、銀行借り入れと蓄積された内部留保だけで設備投資を賄うスタイルを徹底。これにより、「新製品の開発指示から店頭に並ぶまで数ヶ月」という、大手電機メーカーの常識を根底から覆すスピード感を実現した。非上場を貫く姿勢こそが、同社の最強の武器である。