アフタヌーンティーの象徴ともいえるスコーンですが、最も作法の差が表れやすいポイントでもあります。スコーンにナイフを縦に入れ、バゲットのように一刀両断にする行為は避けるべきとされています。スコーンの側面にある「狼の口(オオカミのくち)」と呼ばれる割れ目に指を添え、手で水平に上下2つに割るのが古くからの正式な作法です。ナイフを使うと断面がボロボロと崩れ、テーブルに破片が散らばる原因になります。
割ったあとの一口大への配慮も重要です。2つに割った半身全体にクリームを塗りたくってかぶりつくのではなく、食べる直前に一口分だけ手でちぎり、その都度クリームとジャムを添えて口へ運びます。これにより、口の周りを汚すことなく優雅な所作を保つことができます。
また、クロテッドクリームとジャムの塗り順には、英国発祥の2大流儀が存在します。デヴォン州スタイルは「クリームが先でジャムが上」、コーンウォール州スタイルは「ジャムが先でクリームが上」とされ、英国王室や現地メディアでも長年愛好家同士の議論が交わされてきました。結論として、どちらを先に塗るかは個人の嗜好に委ねられており、どちらを選んでも失礼にはあたりません。重要なのは、共用の器から直に自分のスコーンへ塗るのではなく、専用のスプーンで自分の皿の端にクリームとジャムを一度取り分けてから、マイナイフで塗るという衛生的な手順を守ることです。