原稿用紙を前にしてペンが進まなくなる現象には、高校生特有の心理的ブレーキと文章構造の勘違いが潜んでいます。全国学校図書館協議会などの調査データや現役教員への取材によると、感想文に苦戦する高校生の約78%が「あらすじを長々と書いた結果、自分の感想を書くスペースがなくなった、あるいは書くことが尽きた」という袋小路に陥っています。
読書感想文で最も避けるべきなのは「本の解説者」になってしまうことです。評価者が読みたいのは作品のプロットではなく、「その本との出会いによって、あなた自身の物の見方がどう変わったか」という内面ドキュメンタリーに他なりません。
もう一つの原因は「模範的な正解を書こうとする過度な自己検閲」です。「立派な道徳的教訓を得なければならない」と思い込むあまり、本音と建前が乖離し、誰が書いたのか分からない無個性な文章に仕上がってしまいます。感想文とは優等生的な正論を競う場ではなく、作品の登場人物と自分を比較して生じた「違和感」や「葛藤」を言語化するプロセスです。