あべ静江の人生を語る上で欠かせないのが、病気との闘いである。彼女は1990年代に子宮頸がんを患い、子宮の全摘出手術を受けた。この経験は本人にとって大きなショックであり、女性としてのアイデンティティを揺るがす出来事だったと、後に本人が複数のメディアで告白している。さらに、その後の検査で甲状腺の疾患も見つかり、長期にわたる治療を続けた。
この「子宮頸がん罹患」と「甲状腺疾患の併発」という事実は、単なる病気の記録ではなく、あべ静江の現在の活動の原動力にもなっている。彼女は闘病後、自身の体験を講演やメディアで積極的に語るようになった。特に中高年女性に向けた「検診の重要性」や「身体の変化に敏感になること」といったメッセージは、多くの女性リスナーから「背中を押された」「勇気をもらった」と高い評価を受けてきた。
ここで重要なのは、あべ静江が「かわいそうな闘病者」ではなく「自分の経験を社会に還元する語り部」として立ち上がった点である。病を克服した後に、公の場で語ることには相応の精神的な負担が伴う。それでも彼女が語り続けるのは、自分と同じ苦しみを抱える女性たちに対する使命感からだろう。