実務の現場で大きな混乱を招く要因のひとつが、図面上で使われるA接点B接点の図記号における新旧規格の混用です。日本の製造業・プラント業界では、1999年にJIS規格が国際規格(IEC 60617)へ準拠する形で改定(JIS C 0617)されましたが、2026年代半ばを過ぎた現在でも、40年超稼働し続ける既設工場の保全図面では昭和期から用いられてきた旧JIS記号(JIS C 0601形式等)が当たり前のように現役で流通しています。
旧JISの図記号では、上下や左右の配線ラインに対して「可動接点が右側または上側に離れて描かれているもの」がA接点、「左側または下側にあらかじめ接触した状態で斜線が描かれているもの」がB接点として視覚化されていました。直感的に隙間が空いているか閉じているかが一目で判別できるため、現場の職人たちには旧記号を好む層が今なお根強く残っています。
新JIS記号(IEC規格準拠)では、国際標準の抽象化されたシンボルが採用されています。端子間を繋ぐスイッチの斜めバーが初期状態で離れている形状がA接点、斜めバーの先端に引っ掛かり形状や直交バーが付与されて初期状態で固定端子に接続されている形状がB接点です。回路図上に描かれる記号の方向性や接点の可動方向(基本は左から右へ、下から上へ動くという国際ルール)を正確に把握しておくことが、誤読を防ぐ唯一の防波堤となります。