テレビの画面を飛び出し、生の呼吸が交錯する演劇の舞台に立ったとき、彼の真価はさらに剥き出しになる。舞台上でのセリフの通り、身体の傾きひとつで劇場の空気を一変させる圧倒的な発声と存在感。ソロコンサートや座長公演を経験してきたことで鍛え上げられた度胸は、板の上で何が起きても動じない強固な軸を作り上げた。
観客の目線を釘付けにするのは、決して力任せの演技ではない。役に静かな狂気を宿らせ、ふとした瞬間に哀愁を漂わせる繊細な手触りだ。劇評家や舞台監督たちがこぞってオファーを送る理由は、演劇という生身の空間でしか味わえないカタルシスを、彼が確実に立ち上らせてみせるからに他ならない。