阿川佐和子のパーソナリティを語る上で欠かせないのが、名門校で培われた学歴と、文化勲章受章作家である父・阿川弘之の存在です。
幼少期から慶應義塾幼稚舎に通い、中等部、女子高等学校を経て慶應義塾大学文学部西洋史学科を卒業しました。名門家庭の令嬢として育ちながらも、家庭内は常に緊張感に包まれていました。父・弘之氏は昭和を代表する文豪であると同時に、極めて気難しく短気な性格で知られ、食卓で少しでも気に入らないことがあると皿が飛ぶような家庭環境だったと本人が数々のエッセイで回想しています。
大学卒業後は織物工房での修行や職を転々とし、若い頃は見合いを30回以上経験したというエピソードは有名です。当時は「結婚して良妻賢母になること」が女性の王道とされていた時代であり、幾度も見合いを重ねながらもどこか納得がいかず、破談を繰り返しました。当時の写真や初期の映像を振り返ると、端正な顔立ちと清潔感あふれる美貌を持ちながらも、本人は自己肯定感の低さに悩んでいたと吐露しています。
転機となったのは20代後半、TBSの『朝のホットライン』リポーターへの抜擢でした。その後、『筑紫哲也 NEWS23』のキャスターを務めるなど、報道・情報番組の現場で揉まれることで、父の庇護から抜け出し「一人の表現者」としての足場を固めていきました。