長年の取材で判明した衝撃的なエピソードがある。阿部寛が若手時代にモデルから俳優への転身を図り、仕事に恵まれず不遇の時代を過ごしていた頃、父親は愚痴一つこぼさず「男が一度決めた道なら、現場で一番になれ」と静かに語りかけたという。
また、人気作『テルマエ・ロマエ』のようなコミカルなコメディドラマであっても、彼は一切の妥協を排して役に挑む。どんなに突飛な設定であっても真剣に役と向き合うストイックさは、「どんな小さな仕事でも手を抜くな」という父親の職人論そのものだ。現在でも父親への尊敬の念は変わらず、多忙を極めるスケジュールの合間を縫って、親孝行の時間を大切に守り続けているという。