任天堂のモノづくりを語る上で欠かせない「枯れた技術の水平思考」。最新の高級なテクノロジーではなく、すでに普及してコストが下がった技術を全く別の角度から活用して新しい価値を生み出す——。この哲学を横井軍平氏からダイレクトに受け継ぎ、進化させた実践者こそが彼である。
最先端のスペックを追い求めるあまりコストが跳ね上がり、ユーザーの手が届かなくなる愚を、彼は誰よりも警戒していた。頑丈で壊れにくく、バッテリーが持ち、手軽に買える価格帯。技術者の自己満足を排除し、徹底的に「受け手」の目線に立ち切る美学が、すべての回路設計に貫かれていた。