この前代未聞のカツ丼を生み出したキーマンこそ、創業者である吉井茂氏だ。「とんかつ丸七」を立ち上げるにあたり、同氏が強くこだわったのは『冷めても柔らかく、最後まで重くならないカツ丼』という相反する条件の克服だった。
従来の卵とじカツ丼では、どうしても衣がダシを吸ってサクサク感が失われ、肉の水分が抜けて固くなりやすい。吉井茂氏は試行錯誤の末、低温調理で極限まで柔らかく仕上げた極厚豚肉をサッと揚げ、甘めの玉子焼きの上に載せる「焼きカツ丼」の技法を確立した。丼タレも出汁の風味を立たせ、極厚肉の脂の甘みと完璧に同調するようミリ単位で計算し尽くされている。