「富士急のお化け屋敷は、地方にあった本物の廃病院を買い取って敷地内に移築した」「昔敷地内にあった隔離病棟を改装した」――。誰もが一度は耳にしたことがあるであろうこの噂ですが、結論から言えば建物の移築説は完全なデマです。
戦慄迷宮が入居している巨大なコンクリート建築は、もともと富士急ハイランドが自社施設(かつての宿泊施設やパーク内管理用ビル)として建設したものであり、医療機関として稼働していた過去はありません。
それにもかかわらず、なぜこれほど強固な「本物説」が定着したのでしょうか。その発端は、アトラクション制作時に行われた徹底的な美術素材の調達にあります。富士急ハイランドの制作チームは、圧倒的な臨場感を追求するために全国で閉院・解体される本物の病院から手術台、診察ベッド、無影灯、カルテ棚などの医療器具を買い取り、館内に配置しました。本物の医療器具が放つ経年劣化の生々しさが来場者の視覚と直感を刺激し、「建物そのものが本物の廃病院である」という誤認を生み出したのです。