サントリーが角瓶の再起を賭けて仕掛けた「角ハイボール復権プロジェクト」において、カウンターの主(店主)を務めた女優陣は、単なる広告塔を超えて日本人の晩酌文化そのものを塗り替えました。その変遷を辿ると、時代ごとに求められた「理想の止まり木」の姿が見えてきます。
初代店主を務めたのは小雪です。2007年秋、低迷期にあった角瓶のイメージを一新するため、下町の風情が残るバーを舞台に「ウイスキー、復権」を掲げて登場しました。凛とした美しさと気風の良さを兼ね備えた彼女が、冷えたジョッキに氷とウイスキー、ソーダを注ぐ所作は、若い世代にハイボールという飲み方を強烈に印象づけました。オリエンタルラジオや袴田吉彦ら演じる常連客との絶妙な掛け合いが、バーの敷居をぐっと下げた功績は計り知れません。
2011年からは2代目として菅野美穂が就任。「角ハイボール、つくろっか」という人懐っこい笑顔と明るい呼びかけで、バーの敷居をさらに家庭的な温もりへと引き寄せました。塚地武雅や江口洋介を相手に、から揚げや餃子といった家庭料理とともにハイボールを振る舞う姿は、「ハイカラ(ハイボール+唐揚げ)」という食文化を全国の居酒屋や食卓に定着させる決定打となりました。
そして2014年、満を持して登場したのが3代目の井川遥です。「いらっしゃい」の一言で世の男女を虜にした彼女のバーは、大人の色香と圧倒的な包容力に満ちていました。加瀬亮、田中圭、ピエール瀧、矢本悠馬ら個性豊かな常連客を迎える落ち着いた空間は、約10年もの長期にわたって放送され、「角ハイボールの顔」として不動の地位を築き上げました。