在宅医療における事故の多くは、機器の故障ではなく「初期操作の勘違い」や「消耗品の管理不備」から発生します。安全な療養生活を維持するためには、訪問看護輸液管理マニュアルに則った正確なオペレーションを日課として定着させることが不可欠です。
ここでは日々の投与開始時に求められるカフティーポンプ使い方の標準プロトコルと、確実なカフティーポンプ流量設定手順をステップごとに解説します。
【ステップ1:準備とプライミング(空気抜き)】
手指衛生を徹底した後、輸液バッグに専用輸液セットの針を穿刺します。輸液パックを高く掲げ、クレンメを開いてライン先端まで薬液を満たします。この段階でドリップチャンバー内に適正量(半分程度)の液を溜め、目視できる気泡を完全に追い出しておくことが、後々の気泡アラーム頻発を防ぐ最大の防壁となります。
【ステップ2:カセットの確実な装填】
ポンプのドアレバーを開き、プライミング済みのチューブカセットをカチッと音がするまで押し込みます。レバーを完全に閉じないと「ドアオープン」警告が作動し、作動待機状態へ移行できません。
【ステップ3:流量と予定量のプログラミング】
電源を投入後、医師の処方箋に従って「投与予定量(mL)」および「時間あたり流量(mL/h)」を設定します。例えば、1,000mLの輸液を10時間かけて夜間に投与する場合、流量は100mL/hと入力します。設定完了後は必ず表示数値を指差し確認し、誤設定による急激注入を防ぎます。
そしてもうひとつ、日常点検で疎かにできないのがカフティーポンプ電池交換の手順です。多くのトラブル相談の中に「投与途中でいきなり画面が消えた」というものがありますが、これは電池の消耗限界によるものです。
本機は単三形アルカリ乾電池を電源としていますが、使用推奨期間を過ぎた使い古しの電池や、マンガン電池、充電式ニッケル水素電池を無分別に使用すると、電圧降下の検知が正常に働かず、急停止するリスクがあります。原則として「新品の国内大手メーカー製単三アルカリ乾電池」を使用し、アラーム履歴やバックライト消費を考慮して、メーカー指定の稼働時間(標準で1回〜数回の投与完了ごと)を目安に計画的な交換を行う運用ルールが強く推奨されます。