野外で蜂や有毒害虫に刺された際、最も重要なのは「刺傷直後のスピード対応」です。毒液は毛細血管やリンパ液を通じて瞬時に皮下組織へと浸透していきます。刺されてから処置を開始するまでの理想的なタイムリミットは、刺傷後2分以内とされています。
虫刺されにおける標準的な応急処置手順は以下の通りです。
まず、安全な場所へ避難した上で、患部に針が残っていないかを確認します(ミツバチの場合は毒嚢付きの針が残るため、カードなどで横に払うように除去)。次に、ポイズンリムーバーを用いて傷口から毒液や体液を吸引します。その後、患部を大量の流水(冷水)と石鹸で洗い流し、ステロイド軟膏などを塗布して局所を冷却・安静に保ちます。
ポイズンリムーバーは、シリンジ(注射器のような構造)によってカップ内を強力な陰圧(真空に近い状態)にし、傷口から毒液混じりの浸出液を吸い出す器具です。体内に注入された毒の絶対量を減らすことで、刺傷部位の劇症化を防ぎ、激しい痛みや翌日以降の腫れを大幅に軽減する役割を担います。