ネット上のコミュニティやSNSでは、「おりものの変化だけで妊娠したかどうかが分かる」といった情報が飛び交っていますが、ここには医学的な誤解が含まれています。
受精卵が着床する時期(排卵から約7〜10日後)に生じる「着床出血」が混ざることで、おりものが茶色やピンク色に変化することは確かにあります。しかし、排卵直後から高温期にかけてのおりものの変化自体には、妊娠の有無による明確な個人差があり、性状だけで受胎の成否を100%断定することはできません。
一般的な傾向として、非妊娠時の黄体期はプロゲステロンの影響でおりものの量が激減し、白濁したポテッとした状態になります。一方で妊娠が成立した場合は、エストロゲンとhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌が持続するため、生理予定日を過ぎても「サラサラとした水っぽいおりものが増える」「乳白色のおりものが続く」といった変化を自覚する人が目立ちます。
「おりものが伸びる=その瞬間に排卵した」という認識も不正確です。伸びる粘液はあくまで「排卵が近づきエストロゲンが高まっているサイン」であり、排卵が完了した直後にはプロゲステロンの働きによって粘液は急速に粘り気を失い、濃く濁った状態へとシフトします。自身の身体のシグナルを正しく読み解くためには、おりものの変化の「ピークの瞬間」と「引き潮の瞬間」の推移を捉える視点が欠かせません。