物語の起点は、あまりにも唐突だ。医療機器メーカーで地道にキャリアを積み重ねてきた加納鉄平は、妻の夏代(安田成美)と二人の子供に囲まれ、ささやかだが幸福な生活を送っていた。しかし、夏代が伯母から48億円という破格の遺産を相続していた事実が発覚したことで、事態は急変する。彼女は30年近くもの間、その事実を夫に一切明かしていなかったのだ。
さらに衝撃的なのは、真相が明るみに出た直後、夏代が「一億円の小切手」を残して姿を消したことである。なぜ彼女は巨額の富を隠し続けていたのか。そして、なぜ今になって一億円を置いて去ったのか。手元に残された巨額の金は、鉄平にとって救いではなく、夫婦の絆を疑わせる冷酷な踏み絵となった。