「間取り」をフックにしたホラー・ミステリー作品は、現代の書籍市場において一大ジャンルを築いています。その代表格である雨穴氏の『変な家』と松原タニシ氏の『恐い間取り』は、アプローチにおいて対極の魅力を持っています。
『変な家』が建築構造の矛盾から恐るべき殺人計画や因習を論理的に解き明かす「フィクション・パズルミステリー」であるのに対し、『恐い間取り』は死の痕跡や霊的現象をありのままに提示する「ノンフィクション・オカルトルポルタージュ」です。論理的な謎解きの快感を求めるなら『変な家』、人間の生と死が交錯する現実の薄気味悪さを味わいたいなら『恐い間取り』が適しています。
さらに間取りや土地の恐怖を味わいたい読者には、以下の名作も外せません。
小野不由美『残穢』:ひとつの部屋の異音から、土地の過去数百年へと遡る本格ドキュメンタリーホラーの金字塔。
背筋『近畿地方のある場所について』:断片的なオカルト記事やインタビューから恐るべき真実が浮かび上がるモキュメンタリーの傑作。