時計の針を少し巻き戻そう。成宮が初めて特命係に足を踏み入れたのは、2012年秋に放送を開始した『相棒 season11』だった。それまでの亀山薫(寺脇康文)、神戸尊(及川光博)が築いてきた相棒像を刷新し、若手キャリアでありながら血気盛んで青くさい情熱を持つ「カイトくん」の登場は、シリーズに鮮烈な新風を吹き込んだ。
老練な杉下右京と、反抗期を抱えたような若き甲斐享。ときに衝突し、ときに父子のような温もりを見せる二人のバディ関係は、新たな世代のファン層を劇的に開拓した。警察官としての未熟さと真っ直ぐな正義感が織りなす危うさは、従来の刑事ドラマの枠組み組みを軽やかに飛び越え、シリーズ屈指のダイナミズムを生み出していたのである。