キメラアント編のクライマックスにおいて、国内外のファンコミュニティ(5ちゃんねる、X、海外レビューサイトMyAnimeList等)で「神回」「漫画史の最高到達点」と満場一致で称賛されたのが、メルエムとコムギの軍儀の結末と最期です。
余命いくばくもないことを悟ったメルエムは、王としての覇道や世界征服を完全に捨て去り、残された全時間を「コムギと軍儀を打つこと」だけに費やす決断を下します。毒が感染することを正直に告げた上で対局を望む王に対し、コムギは涙を流しながら「わだすは今…とっても幸せです」と応じ、運命を共にすることを選びました。
原作第318話では、徐々に視力を失っていくメルエムがコムギの存在を確かめる会話のみが続き、ページ全体が漆黒に塗りつぶされた黒ベタのコマ割りの中に台詞だけが浮かび上がるという前代未聞の表現技法が取られました。視覚を完全に排し、読者の想像力と聴覚的感覚を極限まで研ぎ澄ませるこの手法は、芸術的な演出として絶大な評価を受けました。
また、日本テレビ版アニメ第135話「コノヒ×ト×コノヒ」においても、エンディング曲「REASON」のインストゥルメンタルが静かに流れる中、画面を暗転させて二人の会話だけで締めくくるという原作への最大限のリスペクトが捧げられました。
アニメでメルエム役を務めた声優の内山昂輝氏は、当時の特番インタビューや公式コメントにおいて、「感情を持たない冷酷無比な怪物から、徐々に人間らしい揺らぎや温かさを獲得していくグラデーションの表現に細心の注意を払った」と語っています。静謐でありながら深い愛情と切なさを滲ませた内山氏の演技は、メルエムという複雑なキャラクターに完璧な生命を吹き込みました。