国土交通省が定める自動車継続検査の保安基準は、ガソリン車であれEVであれ変わらない。灯火類、サイドスリップ、ブレーキ制動力、下回りの損傷チェックといった基本ラインは共通だ。しかし、検査員の視線が向かうポイントにはEV特有の違いが存在する。
最大の相違点は排ガス検査とエンジン関連のチェックが完全にスルーされる点だ。代わりに重視されるのが、高電圧バッテリーと駆動用モーターを繋ぐオレンジ色のハーネス類の損傷や絶縁状態の確認である。回生ブレーキを多用するテスラでは、物理ブレーキのパッドが摩耗しにくい反面、ディスクローターにサビが発生しやすいという逆転現象も起きる。
こうした電気自動車独自の構造を理解していない指定工場に持ち込むと、確認作業に余計な時間がかかったり、受け入れを拒否されたりするリスクがある。法定費用の安さに甘んじず、EV特有のチェックポイントを適正に評価できる環境選びが不可欠だ。