隆の里を語る上で欠かせないのが、同時代を駆け抜けた第58代横綱・千代の富士との宿命のライバル関係です。入門時から互いを強烈に意識し合っていた2人ですが、スピードと豪快な上手投げを武器にする千代の富士に対し、隆の里は万全の左四つから怪力でじっくり攻め立てる正攻法の取り口で対抗しました。
昭和50年代後半、無敵の強さを誇り相撲界の頂点に君臨していた千代の富士にとって、最も組み止められたくない相手が隆の里でした。隆の里は千代の富士の素早い前褌を許さず、深い左上手を引きつけて力強く寄る相撲で幾度となく完封。「千代の富士キラー」として土俵を沸かせました。
特に1983年秋場所の千秋楽、14戦全勝同士で激突した横綱決戦は、日本中が息を呑んで見守った昭和屈指の名勝負です。立ち合いから鋭く踏み込んだ隆の里が千代の富士の上手を封じ、堂々たる寄り倒しで2場所連続全勝優勝を達成。「真の実力で掴んだ横綱」の貫禄を天下に知らしめました。