ピースボートを取り巻く悪評の中で、特にネット掲示板やSNSで頻繁に語られるのが「特定の政治団体や宗教と関係があるのではないか」という疑惑、そして「ボランティアスタッフ制度の搾取構造(闇)」に関する噂です。これらの真偽を検証します。
「特定の宗教団体と関係がある」という噂の真相
結論から言えば、ピースボートおよび旅行企画・実施を行う株式会社ジャパングレイスが特定の宗教団体と組織的な連携や資本関係を持っている事実はありません。
ではなぜ宗教疑惑が囁かれるのか。最大の要因は、船内で行われる「自主企画」と呼ばれる講座やワークショップにあります。乗船者が自由に企画を立ち上げられる制度上、中にはスピリチュアルな内容、独特の自己啓発セミナー、平和運動や環境問題を熱心に語るセッションが存在します。これらを体験した乗船者の一部が「独特の熱狂感があり、新興宗教の集会のようだった」とネット上に書き込み、それが尾ひれをつけて拡散したのが実態です。
設立の歴史的背景と政治的スタンス
ピースボートは1983年、元衆議院議員の辻元清美氏ら早稲田大学の学生たちが中心となって立ち上げたNGOがルーツです。そのため、歴史認識問題、環境保護、非核・平和構築といったテーマに関する講演会やゲストスピーカー(水先案内人)の招聘が多く、リベラル寄りのカラーが存在することは事実です。ただし、これらの企画への参加は完全な自由意志であり、思想信条を強制されることは一切ありません。単なる観光旅行として割り切って過ごしている乗船者が大半を占めています。
ボランティアスタッフ(ボラスタ)制度の実態と「闇」と称される理由
30歳未満の若者を対象に、ポスター貼りなどの作業を行うことで乗船代金の全額または一部が割引免除される「ボランティアスタッフ制度」。若者にとっては自力で世界一周ができる夢のような仕組みですが、ここにも「闇」と形容される過酷な側面が存在します。
全額割引(実質無料)を達成するためには、数千枚から1万枚規模のポスターを全国各地の店舗に飛び込みで貼る過酷なノルマをこなす必要があります。雨風の中での長時間の歩行、店舗オーナーからの冷遇やクレームに耐え続ける精神力が必要です。途中で挫折した場合は割引が中途半端になり、費やした時間と労力に見合わない結果に終わるケースもあります。この労働集約的な実態が、「無償労働の搾取ではないか」という批判を呼ぶ要因となっています。