新幹線の車体製造は、アルミニウム合金の中空押出型材を精密に組み上げることから始まる。新幹線車両の骨格を成す「ダブルスキン構造」は、外板と内板の間にトラス状の筋交いが張り巡らされた蜂の巣のような断面を持つ。軽さと凄まじい剛性を両立させるための設計だ。
長さ25メートルにも及ぶ巨大なアルミ部材を継ぎ目なく接合するのが、摩擦攪拌接合(FSW)と呼ばれるハイテク技術だ。母材を溶融させず、回転するツールによる摩擦熱と圧力で金属原子同士を練り合わせる。熱による歪みが極めて少なく、接合部の強度は従来の溶接を遥かに凌ぐ。巨大なマシニングセンタが滑るように動き、巨大なアルミの塊から不要な肉をミリ単位で削り落としていく光景は圧巻だ。
ロボットがミリ単位の骨格を組み上げる一方で、車両の「顔」となる先頭部の三次曲面は、熟練工の手に委ねられる領域が色濃く残る。3次元CADデータをもとに粗削りされたアルミパネルを、木槌や金槌で叩き出して微細な歪みを整えていく。手のひらの触覚だけを頼りに表面のミクロン単位の凹凸を検知し、図面通りの流線形へと追い込んでいく作業は、まさに人間国宝級の職人技だ。