絶望視されていた北アラル海に奇跡をもたらしたのは、国際的な資金支援と高度な土木技術だった。カザフスタン政府と世界銀行がタッグを組み、2005年に完成させた「コカラル堤防建設プロジェクト」である。
南北のアラル海を隔てる位置に建設された全長13キロメートルに及ぶコンクリートの巨大堤防。これにより、シルダリヤ川から流れ込む貴重な淡水を北側の水域だけに留め置くことに成功した。水位はわずか数年で数メートルも上昇し、予想を上回る速さで水域が広がっていった。
塩分濃度が低下したことで、一時は絶滅したと囁かれた淡水魚が奇跡的に戻ってきた。廃墟と化していた港町周辺には漁師たちの威勢の良い声が響き渡り、2026年の今日、地域の淡水魚出荷量は過去最高水準を更新している。水を取り戻す戦いは、単なる環境保護を超えた地域の経済再生モデルとして注目を集めている。