1972年2月、長野県軽井沢町。雪に覆われた山荘を包囲した警察部隊は、凄惨な極限状態に直面していた。氷点下15度にも達する酷寒の地では、現場に差し入れられた弁当は瞬時にカチカチに凍りつき、たくあんは歯が立たないほどの氷塊と化した。水分補給用の水筒さえ凍結する中で、過酷な包囲網を維持する警視庁機動隊の体力的・精神的限界は目前に迫っていた。
そこに導入された救世主こそが、お湯さえ注げば数分で熱々のスープと麺を口にできる革新的な容器付き即席麺だった。過酷な現場でかじかむ手を温め、胃袋を満たす熱い湯気。湯気を立ち上らせながら一心不乱に麺をすする警察官たちの姿は、連日全国に生中継されていたテレビ中継の画面に大きく映し出された。視聴者はその光景に目が釘付けになった。「あの温かそうな食べ物は一体何だ?」という強烈な好奇心が全国へ急速に伝播し、事件解決と同時に全国の店頭から商品が瞬時に姿を消す爆発的購買運動へとつながったのである。