ネット上の一部要約やあらすじ紹介では、本作を「教師と生徒の禁断の愛」「親友の婚約者との泥沼三角関係サスペンス」といった扇情的なゴシップ的枠組みで紹介しているケースが見受けられますが、これは決定的な誤解です。
鳥飼茜氏が一貫して描いていたのは、「被害者がなぜ被害を告発できず、自分を責めてしまうのか」というサバイバーの心理構造です。美鈴がついた「白い嘘」とは、他人を欺くための悪意の嘘ではなく、「私は傷ついていない」「これは性暴力ではなく、自分が愚かだっただけだ」と信じ込もうとする、精神の自己防衛機制に他なりません。
本作の真価は、被害者が「嘘」という殻を自ら打ち破り、理不尽な世界に対して「私は理不尽に傷つけられたのだ」と正当な怒りを取り戻していく解放のプロセスにあります。