美智子さまが長年示されてきた装いとお言葉は、日本のモード界と国民感情に計り知れない影響を与え続けています。美智子さまのファッションは、単なる華美な装飾ではなく、「相手への深い敬意」と「日本伝統の織物文化の継承」を宿した独自の哲学に貫かれていました。
トレードマークとなった小さな丸い「皿型帽子(ピルボックス帽)」や、優美なドレープを描くケープ風ジャケット、首元に上品なアクセントを添えるブローチ使いは、国内外のデザイナーから絶賛されました。また、皇居内にある紅葉山御養蚕所で育てられた日本固有の蚕品種「小石丸」の生糸を用いた気品ある和装は、衰退の危機にあった日本の伝統養蚕技術を今日まで守り抜く大きな支えとなりました。
また、数々の被災地で見せられた「お言葉」と行動様式は、象徴天皇制のあり方を再定義しました。1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災において、避難所の冷たい体育館の床に正座し、被災者と同じ目線に腰を落として両手を握り、涙を浮かべながらかけられた温かなお言葉。その所作は「寄り添う皇室」の象徴として、人々の傷ついた心に深く染み渡りました。