ネットを介した個人間取引の危うさを世界規模で可視化させた衝撃作がある。動画配信サービスNetflixで話題を呼んだ社会派ドキュメンタリー『1000人の子を持つ男』だ。作中で描かれたオランダ人男性ジョナサン・マイヤーは、複数の精子バンクやSNSを通じて自身の精子を拡散し続け、世界中で推定500人から1000人以上もの子どもの遺伝上の父親となった。
一見すると無償の善意に見える行動の裏にあったのは、コントロール欲求と歪んだ自己誇示だった。近親婚リスクの増大や家族の精神的トラウマなど、歯止めの利かない個人提供が引き起こす危機は極めて重い。この作品は単なる海外のゴシップではなく、ルールなき個人取引が招く生殖倫理の崩壊を告発する警告灯として、日本国内でも大きな波紋を広げている。