極細のDNA線状分子が、どのようにして太く固まった染色体へと姿を変えるのか。その鍵を握る主役がヒストンと呼ばれる塩基性タンパク質だ。極めて長いDNAの鎖は、まず8個のヒストンが集まったコアのまわりに約1.67回巻きつく。これにより「ヌクレオソーム」と呼ばれる数珠状の構造が形成される。
この数珠がさらにコイル状に束ねられ、幾重にも折りたたまれることで、最終的に顕微鏡で観察可能な染色体の形態が完成する。しかし、この複合体の役割は単なる収納にとどまらない。最新の知見によれば、ヒストンの化学的修飾(メチル化やアセチル化など)が、どの遺伝子を読み出し、どの遺伝子を眠らせておくかを制御するスイッチとして機能している。折りたたみ構造そのものが、細胞の個性や運命を決定づけているのだ。