日本の広告史において、これほどまでに国民の脳裏に刻み込まれたフレーズが存在するだろうか。サントリーホールディングス(当時・サントリー)のウイスキーCMで彼女が見せた愛くるしい妻の佇まいは、一世を風靡した。「すこし愛して、ながく愛して」――ささやくようなハスキーボイスとともに、エプロン姿で微笑む姿は、世の男性たちにとっての理想像そのものだった。
だが、あの名フレーズの裏には、完璧主義者としての過酷なまでのこだわりが潜んでいた。監督の要求にミリ単位の表情で応え、自らの声のトーンや首の角度ひとつに一切の妥協を許さない。甘えたような仕草の中に、研ぎ澄まされたプロフェッショナリズムが同居していたからこそ、単なるお茶の間のアイドルにとどまらない不滅の魅力を放ち続けたのである。