本作のクライマックスとなる第10話「寝るだけのお仕事」では、これまで積み上げられてきた不気味な違和感が一気に爆発し、想像を絶する結末へと突き進みます。謎の映像制作会社の取材ディレクター・モヤ(坂口涼太郎)に集められた4人が最後に挑んだのは、「新薬の臨床試験としてただ眠るだけ」という、一見すると最もリスクの低そうな仕事でした。
しかし、睡眠薬によって眠りに落ちた彼らを待っていたのは、安らかな眠りではなく完全な拘束でした。目を覚ましたサルバドール、モモ、トリハダ、ワンちゃんの4人は、体を厳重に縛り付けられ、身動きの取れない実験室のような空間に閉じ込められていることに気づきます。そこで明かされたモヤの真の狙いは、単なるルポルタージュ番組の制作ではなく、「極限状態に追い詰められた人間の恐怖と狂気の表情を記録し、裏マーケットへ売り捌くスナッフフィルムの撮影」だったのです。
第1話から第9話に至るまで、彼らが遭遇した奇怪な現場(事故物件の特殊清掃、怪しい宗教団体の食事会、呪われた電話番など)の数々は、偶然のトラブルではなく、すべてモヤたちによって綿密に仕組まれた「人間観察実験」でした。恐怖に歪む4人の表情を収めることこそが、この「お仕事」の唯一の目的に他ならなかったわけです。
絶望的な状況のなか、筋力と冷静さを振り絞ったサルバドールが拘束を解き、仲間を解放してモヤへ逆襲を試みます。もみ合いの末、カメラを奪い取った4人は施設からの脱出に成功したかに見えました。しかし、物語は単なるハッピーエンドでは終わりません。奪い取った手持ちカメラが突如として「画面の向こう側にいる視聴者自身」へ鋭く向けられ、不気味なノイズと共にブラックアウト。次なる「簡単なお仕事」のターゲットが、好奇心でこの映像を覗き見していた私たち自身であることを示唆する、戦慄のメタフィクション構造で幕を閉じました。