2026年の現在、制作秘話やインタビューのアーカイブが再注目される中で、内山が当時どのような姿勢で役に挑んでいたのか、その異能の役作りが改めて脚光を浴びている。通常、少年漫画における強敵役は、威厳や怒りを大音量で表現する手法が一般的だ。しかし、内山が選択したのは「極限まで感情の誇張を削ぎ落とす」という逆転の発想だった。
王としての絶対的な自信があるからこそ、大声を張る必要がない。声を張らない低音のフラットな響きの中に、圧倒的な圧迫感を忍ばせる演技プランは、監督や音響監督との緻密な議論の末に確立されたという。この「引き算の美学」こそが、メルエムという王に他とは一線を描く気品と恐ろしさを与えた真因だ。