実在の事件をコミカライズする際、作者が最も苦悩するのは「リアリティと配慮のバランス」だ。代表的な作品では、加害者の心理的背景や集団心理の恐怖を解剖しようと試みる一方で、被害者の無念さや苦痛をどこまで具現化すべきかという重い課題が常に横たわる。
直接的な暴力描写を極力抑え、周縁の人々の視点から構造的な問題を浮き彫りにしようとする手法もあれば、現実の残酷さをそのまま直視させようとする硬派なアプローチもある。読者が受けるショックの大きさは、そのまま作品が背負う社会的責任の重さに比例していると言えるだろう。