ハリー・ポッター全編を通じた最大の伏線回収の一つが、セブルス・スネイプの守護霊です。第7巻『死の秘宝』において、森の中でハリーを「グリフィンドールの剣」へと導いた銀色の牝鹿こそが、スネイプの守護霊でした。
なぜスネイプの守護霊は牝鹿だったのか。その理由は、ハリーの母であり、スネイプが幼少期から生涯愛し続けたリリー・ポッター(旧姓エバンズ)の守護霊が牝鹿だったからです。
魔法界の法則において、守護霊の姿は強い精神的ショックや、誰かに対する圧倒的な愛によって変容することがあります(トンクスがルーピンへの愛から狼に変化したように)。しかしスネイプの場合、変容どころかリリーの死後も何十年間にわたって同じ牝鹿の守護霊を出し続けていました。
ダンブルドアが「まさか、今でもかの人を?(After all this time?)」と驚愕混じりに問いかけたのに対し、スネイプが「永遠に(Always)」と静かに返答する場面は、シリーズ屈指の名言として語り継がれています。自らを犠牲にして二重スパイとして生き抜き、リリーの息子であるハリーを影から守り抜いたスネイプの動機は、善悪のイデオロギーではなく、ただ一人の女性への純粋な愛だったのです。