この驚くべき事実を白日の下に晒したのが、劇作家・演出家の鴻上尚史である。鴻上は偶然目にしたわずかな記録を手がかりに、北海道に暮らしていた晩年の佐々木本人へのロングインタビューに成功。数年間にわたる徹底的な取材と戦史検証を重ね、2017年に講談社から『不死身の特攻兵』を上梓した。
刊行と同時に、本書は出版界に大きな衝撃を与えた。「特攻精神」という言葉で美化されがちだった戦時下の空気を根底から覆し、理不尽な命令に対して「生きる」という選択を貫いた個人の戦いが、圧倒的なリアリティをもって描かれていたからだ。講談社から刊行された単行本・文庫本は瞬く間にベストセラーとなり、演劇化や漫画化など多方面へと波及。佐々木友次の名は、歴史ノンフィクションの枠を超えて日本中に再認識されることとなった。