4月30日という日付を語る上で欠かせないのが、日本近現代史に刻まれた「平成最後の日」の記憶です。2019年(平成31年)4月30日、皇居・宮殿「松の間」において、天皇の退位等に関する皇室典範特例法に基づく「退位礼正殿の儀」が厳粛に執り行われました。
我が国の憲政史上において、天皇の譲位による代替わりが行われたのは、光格天皇以来実に約200年ぶりの出来事でした。1989年1月7日の昭和から平成への移行が、昭和天皇の崩御に伴う深い悲哀と自粛ムードに覆われていたのに対し、2019年の代替わりは、事前の周到な準備と国民的な慶祝の雰囲気の中で進行したという決定的な差異があります。
退位礼正殿の儀において、当時85歳であられた上皇陛下は「象徴としての私を受け入れ、支え続けてくれた国民に、心から感謝します」と述べられました。公の場で見せた穏やかな表情と、国民に寄り添い続けた平成流の歩みを締めくくる肉声の告白は、列島全体に深い安堵と敬意を呼び起こしました。
なお、「2019年の4月30日は祝日だったはずだ」という記憶を持つ方が多いのは正当な事実です。この年に限り、皇位継承に伴う特例法(祝日法特例)により翌5月1日の即位日が祝日扱いとなり、祝日法第3条第3項の規定によって挟まれた4月30日と5月2日が「国民の休日」に指定され、前代未聞の10連休が出現しました。しかしこれは恒久的な法改正ではなく、2019年限りの臨時措置であったため、現在のカレンダーでは平日運用へと回帰しています。