人間の運動機能は、頭部から首、体幹、そして手足へと、中心から末梢に向かって徐々にコントロールが可能になる法則性を持っています。走る、跳ぶ、歩くといった全身を使う大きな動きは粗大運動と呼ばれ、その成熟スピードは子ども一人ひとりの体格や性格によって劇的に異なります。
厚生労働省が実施してきた歴代の身体発育調査や近年の成育医療データを見ても、歩行の開始時期には数か月から半年以上の開きがあることが統計的に証明されています。お尻で座ったまま移動するシャフリングベビー(いざり児)と呼ばれる子どもたちは、ハイハイやつかまり立ちを経ずに過ごすことが多く、歩行の開始が1歳半から2歳過ぎへと遅れる傾向がありますが、その多くは年齢とともに自然な歩行を獲得していきます。
また、子どもの気質も見逃せない要素です。好奇心が旺盛で恐怖心より行動が先に立つ子どもは転びながらも早く歩き始める一方、慎重で失敗を嫌う子どもは、完全にバランスが取れる自信がつくまで自ら手を放して歩こうとしない場合があります。運動機能そのものには問題がなくても、心理的な成熟のプロセスによって歩き出すタイミングに違いが生じるのは極めて自然な現象です。