作中で最も不気味な象徴として機能していたのが、忍者ハットリくんやナショナルキッドの「お面」です。彼らがなぜ頑なに素顔を隠し、お面を装着し続けたのかには、あまりにも切なく歪んだトラウマが横たわっています。
カツマタ君はお面を外すことができなかったのではなく、「最初から顔のない存在」として扱われていたことに真の悲劇があります。すべての発端は、小学生時代に駄菓子屋「ジジババ」で起きた『宇宙特捜隊バッジ』の万引き事件でした。実際にバッジを盗んだのは幼少期のケンヂでしたが、店主のババアに犯人と決めつけられたのは、その場に居合わせたカツマタ君でした。
無実の罪を着せられたカツマタ君は激しいいじめを受け、同級生たちから「あいつは死んだ」と存在そのものを完全に無視されるようになります。死人扱いされた彼は、生きていることを証明することもできず、ただお面を被って誰にも気づかれない透明人間として過ごすしかありませんでした。自分を世界の中心から追放したケンヂへの憎しみと、「自分こそが本物の主役になりたい」という怨念が、世界を巻き込む大虐殺劇の引き金となったのです。
なお、作中で教団のシンボルとなった「ともだちマーク」は、少年時代にオッチョがマンガ雑誌のイラストを参考に考案した秘密基地の旗印でした。「目と人差し指」を象ったこのマークを盗用した点にも、仲間外れにされた男がケンヂたちの青春そのものを略奪しようとした執念が浮き彫りになっています。