声優の多くが専門学校や劇団の養成所からキャリアをスタートさせる中、諏訪部順一の経歴は極めて異例です。その歩みを知ることで、彼の演技の深みがより一層理解できます。
大学で映画や放送などの映像制作を学んだ後、新卒時はテレビ番組制作会社の制作スタッフ(ディレクター見習い)として業界に飛び込みました。過酷なAD業務や演出補佐、構成作業など、いわば「裏方」の現場で映像制作のノウハウを徹底的に叩き込まれます。
その後、その恵まれた美声とトーク力を買われ、ラジオDJやゴールデンタイムのテレビ番組ナレーターとして表舞台へ転身。数々の大型バラエティや報道番組のナレーションを務める売れっ子ナレーターとして地位を築いた後、20代後半からアニメ声優のオーディションに本格挑戦し、見事に『テニスの王子様』跡部景吾役を射止めました。
「作り手(演出・ディレクター)の視点」を肌で知っているからこそ、音響監督や演出家が求める音を瞬時に察知し、的確に応えられる柔軟性と高いプロ意識が培われたのです。