高さの比較だけでなく、建築美や景観との調和において最高峰と称されるのが「日本三大五重塔(日本三大名塔)」です。一般的にその筆頭として挙げられるのが、法隆寺、醍醐寺、そして山口県の瑠璃光寺の3基です。
法隆寺五重塔は、飛鳥時代の様式を今に伝える奇跡の建築。深い軒の出と力強い組物が織りなす陰影は、古代の造形美の極致と言えます。京都屈指の名刹にある醍醐寺五重塔は、平安時代の951年に完成した京都最古の建造物。初層内部には壮麗な両界曼荼羅が描かれており、密教美術の宝庫としても高く評価されています。
西の京・山口に立つ瑠璃光寺五重塔は、室町時代中期の嘉吉2年(1442年)に建立された大内文化の最高傑作です。檜皮葺(ひわだぶき)の屋根が描く流麗な曲線と、周囲の池や緑と調和した佇まいは息をのむほど美しく、日本屈指の景観美を誇ります。
また、東北地方最古の塔である山形県・出羽三山の羽黒山五重塔も、深い杉木立に抱かれた素木造り(しらきづくり)の野趣あふれる姿から、三大名塔に数えられるケースがあります。豪雪地帯に耐えうる頑強な構造美は、都の洗練された塔とは異なる孤高の魅力を放っています。